われわれは「矯正」をやっていると思っている。まあ、だれもそれは否定をするものではないだろう。ところが、例えば「中央区矯正」という検索をすると、月島矯正歯科は出てこなくて、その代わりに縮毛矯正だとか骨盤矯正、挙句は小顔矯正なんて言うのまで出てくる。｢歯科矯正治療をしたら、顔が小さくなります｣というのかと思ってよく見れば、単なる整体である。

その「小顔矯正」が、効果なしということで消費者庁が９つの業者を処分するというニュースが出た。公的機関が発表するのだから、単なる思い込みということはあるまい。むしろ、思い込みをしているのは実際にそういうところで「治療」を受けている人たちだということになる。彼女らは、顔が小さくなるということを信じたからこそ行くのであって、信じなければ何十万円というお金を出してまでそんなところにはいかないだろう。

格好のテレビネタなので、当然テレビ局もこういうことは特集する。実際にやってみましたがどうですかというやつだ。あまり変わった気がしないとか、照明の仕方による違いでしょうという意見があった。ネット上では実際に「治療前・治療後」という写真がたくさん出ているが、はっきり言ってその差がよくわからない。普通に考えれば、頭の骨が小さくなるなどということがないのだから、ちょっと触ったぐらいで顔が小さくなるわけはないのだが、うまくできたホームページに騙されてしまうのだろう。

そもそも、整体とは何かといえば、骨のゆがみをとることによって神経やリンパ液を正常にするという考え方だ。骨のゆがみがなぜ起きるかといえば、仕事上とらざるを得ない不自然な姿勢が原因だとよく言う。顔は姿勢とは関係ないではないかといえば、それはかみ合わせの悪さやほおづえをつくといった不自然な力が加わるからだというのが彼らの主張である。だから、そういう不自然なことをやって歪んだものをまっすぐにするというのである。

でも、ちょっと考えればわかることなのだが、仮に整体によって一時的にいい位置に戻したとして、仕事に戻ればまた同じ姿勢をとるわけであり、そうなればまた悪い骨の位置に逆戻りしてしまう。歯並びが悪いのであれば、これを変えずに骨をどれだけ動かそうが、あるいは頬杖を突く癖を直さないのであれば、再び元の木阿弥になってしまうではないか。

ところで、今回の話の中で、顔の骨が動くか動かないかという話題が上っていた。顔の骨が動くのであれば、それは脱臼か骨折だと。確かに、顔の骨は一見一つの骨に見える。だが実際には「顔を構成する骨」というのは前頭骨に始まり、鼻骨、涙骨、上顎骨、蝶形骨、頬骨、下顎骨などが含まれる。もちろん、それぞれの骨は独立しているが隣の骨と「縫合部」というものでいわばくっついている。問題は、この「縫合部」というものが動くのかどうかということである。

「縫合部」というものは一種の関節のようなものであり、実際には多少の可動性がある。もちろん、死んだ人から作ったドライスカルでは動くことはないが、実は生きている人ではこの部分が動く。これは、咬合力のような強い力を頭全体に逃がす働きをしているともいえるし、殴られた時のように強い外力が加わった時に、頭全体が壊れにくくするということもあるだろう。呼吸をするだけで開いたり閉じたりするという人もいる。

そんなに動いているのなら、もっと顔がゆがんだり変化するだろうといわれそうだが、小さな動きなので、普段の生活でこれを感じるということはない。ですので、だれしも頭の骨は動かないと思うわけです。実際、私もやってみたが、頭の上半分を固定して下半分を動かそうとすると、確かに顔の骨は動くのです。

ダイエットの治療前・治療後の写真を見ると、治療前に履いていなかったハイヒールを履いて治療後に写真を撮って同じ身長に縮小しているような写真が出てきたりする。「小顔」の写真でも、明らかに治療後の写真を縮小しているようなものがあったりする。我々の業界でも、「白い歯」の宣伝で色の修正をしていない写真は無いといっていいだろう。お金が絡めば、いくらでもそういうことは出てくるものだ。

小さい顔を作るとうたっている整体で、実際に何をやっているのかといえば、顔の水分や脂肪を移動するということでしょう。空気のたくさん入った風船から空気を抜けば、それは小さくなります。でも、骨をいくらいじったところで削れば別ですが、大きい顔は大きいままです。｢リンパ液の流れを良くする｣といって行われる｢施術｣も、当然、時間がたてば元に戻ってしまうわけです。

歯を抜いて矯正治療をすれば、口元が下がります。口元が下がれば顔全体が小さくなる理屈です。また、親知らずを抜くと顎角部分がほっそりするという人もいます。骨を削らずに小顔を作るとすれば、それぐらいだと思うのですが、手前みそすぎるでしょうかね。

 

 

 

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月島矯正歯科
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