服部卓四郎という人は、自衛隊創設時に、長官を嘱望されたが吉田茂および旧内務官僚から忌避されてかなわず、大東亜戦争に関する｢大東亜戦争全史｣4巻を編纂した人である。｢ノモンハンの夏｣では、いたずらに部下を殺したとんでもない参謀であるように書かれていた。しかし、ここでは人望が篤く、第2次大戦劈頭の作戦では大戦果を上げた人となっている。いったいどちらが正しいのだろう。

服部の人物評に対して、吉田茂に対しては辛らつである。この人は、世論では再軍備賛成が過半数であるにもかかわらず、国民が反対していると嘘を言う。朝鮮戦争に際して、日本への侵略が懸念されても何もしないで見ていた。実際に国籍不明の飛行機がやってきてもなんら対処しようとしなかった。そして、李承晩ラインがひかれて竹島が韓国に不法占拠されても何もなすことなく、日本人が逮捕連行されたことに対してもアメリカに何とかしてもらうということしかしなかった。まさに竹島問題は、吉田茂の不作為の結果が戦後70年にわたって残ったものである。ひいては、戦後に残った問題のほとんどは吉田によるものであると筆者は断じる。

内務官僚に牛耳られてできた自衛隊は、今に至ってもその体質は残っているのであろう。この70年間戦争が無かったのは、まさに天佑としかいいようのないものであった。

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