8月15日のクワガタ

母親を含めた家族でこのお盆は旅行に出ていた。

昔は父親も来ていたものである。

昼間は鳥の声がうるさく、夕方からヒグラシが鳴く。

そんな中、いつの間に入ったのか天井にクワガタがいた。

夜の天井に黒い塊が張り付いていると、一瞬ぞっとする。

しかし、よくよく見れば、頭の先に2本の角がついている。

子供のころに追い求めたものである。

さすがに子供じゃないのでそのままにしておいた。

そのままにしておいたらいつの間にかいなくなるかといえばそんなことはない。

朝になってもまだ窓のあたりをうろうろしていた。

そこで、そっと網戸を開けて外に出してやった。

しばし、そのあたりをうろうろとしていた。

それは、何とも去りがたいといっているようでもあった。

おりしもお盆である。

もしかしたら、うちの父親がクワガタに姿を変えてみんなに会いに来たのでは、なんて思ったりもした。