トレーナーじゃあ骨格的3級は治らないよ
2024/12/21
他院で治療を提案された方が時々、セカンドオピニオンでお見えになる。
先日お見えになった方は、就学前でまだ永久歯に交換していないが、骨格的3級で前歯部開咬気味である。
相談に行った一般歯科で、トレーナーの使用から将来的にねじ式拡大装置を提案されたという。
骨格体3級で開咬気味というのは、将来的に外科的処置が必要になる場合が多い。
昨年、今年の日本矯正歯科学会でもシンポジウムで発表があったが、上顎骨の前方けん引が基本的に行われる。
それは、上顎骨の劣成長を補うためで、それがうまくいかないと、将来的に手術が必要になる場合が多いからだ。
この時期の治療として、前歯部の反対咬合を改善することはある。
反対にかんでいることで上顎骨の前方成長をは抑制され、一方、下顎骨の成長が促進されてしまう。
これを防ぐためである。
ところが、開咬気味ということは、下顎が上顎を抑制していないということであり、反対咬合を改善する意義はそれほど大きくない。
トレーナーである程度派の配列を行うことは可能なので、反対咬合の改善は不可能ではない。
ただ、この装置で骨格的な問題までは改善はできない。
まして、ねじで拡大するとはほとんどナンセンスであろう。
世の中には、こういった「治療」と称するものが蔓延していて、患者さんはただ気の毒なだけである。
この方がもし、そういうところで「治療」されたとしても、10年後、20年後には、ただの矯正不信になっているだけなのだろう。