ＭＲＪが飛んだそうだ。2008年に始まった開発からは7年、ＹＳ11が飛んだ1962年からは50年以上たっている。しかし、何度も試験飛行を延期してきた経緯を見ていると、本当に飛ぶのだろうかという危惧はずっとあった。つい先日も延期したばかりだったので、今日の初飛行も本当にできるのかという心配はあった。

三菱重工といえば、言わずと知れたゼロ戦である。70年以上前にゼロ戦を作った会社が、旅客機を作ることなど造作もないことだろうとは誰しも思うところだ。だが、戦後の航空機業界はアメリカとヨーロッパの2大勢力の下でそれ以外のメーカーは参入の余地が少なかった。加えて、我が国は戦争で負けた国ということで飛行機開発が禁止されていた時期があった。その抑制が外れたのかどうか、ゼロ戦を作った会社が新しい飛行機を作らせてもらえるようになった。

飛行機産業はゼロ戦を持ち出すまでもなく軍需産業である。だが、今やブラジルやカナダでさえ民生用飛行機を輸出している時代である。アメリカに次ぐ技術を持つわが国がこの分野から締め出されなければならない理由はないだろう。さらには、すべての技術においてそうだが、やらなければ失われてしまう。今作らなければ将来的にも飛行機技術が我が国からなくなってしまう恐れがあった。

まだ1回飛んだだけである。本当の闘いはこれからなのかもしれない。実際に製品の納入は2年後の予定だ。その時には予想以上の満足が得られるような製品であってほしい。ボンバルディア以下などといわれるようなことにはならないでほしいものだ。

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