独裁国家北朝鮮の実像
2017/03/06
金正男暗殺直前に出された北朝鮮の本である。まるで、暗殺を見越していたかのようなタイミングである。とはいっても、実際の対談は半年以上前に行われ、新聞紙上に掲載されたものであり、それに加筆して本にしたのだそうだ。元公安調査庁の北朝鮮研究者と大学の北朝鮮研究者との対談である。
北朝鮮については、よくわからないというのが実際のところであるようだ。われわれが北朝鮮についてを知る場合の情報のソースにはかなりバイアスがかかっており、これがために相当希望的観測を含んだものとなっているということのようだ。それは、情報のかなりの部分が韓国からのものだということであり、また、脱北者からの情報ということで、脚色もなされている可能性が想像できる。その最たるものが、北朝鮮は崩壊寸前であるというものだ。
北朝鮮は、日本や韓国と協議をしてもらちが明かないという結論に至り、結局アメリカしか交渉する相手はいないのだということに気がついたのだという。それは、一定の合意がなされても、アメリカの一存で覆されたからだというのが分析である。さらに、アメリカと交渉するためには、是が非でも核兵器を持つ必要があるというのが現在の彼らの考えだという。
南北両国ともに南北統一という。しかし、本当に南北を統一したとすれば、韓国にとっては非常な負担になることはドイツの例で明らかである。さらに、脱北者が一向に韓国社会に溶け込まないことも彼らを嫌う理由になっているそうだ。これらのことより、韓国ではもはや南北といういつなどしないほうがいいという考えを持つ人が増えているようである。
トランプ政権になって、対北朝鮮政策は当然変容を迫られるであろう。それは、オバマの無作為の8年間の間に着々と核兵器の開発を進めてきたからである。今や、衛星の発射とすら言わず、自衛のための兵器開発とはっきりと言い出した。予測不能の国がこれから日本にとってどうなっていくのかが、我々にとっての最大の関心事であろう。
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