資料を採れば何でもわかるのか
2020/11/10
矯正治療を始める際には、資料を採る。
歯列模型、口腔内写真、顔貌写真、レントゲンである。
レントゲンは、一般的な口の中を映すパントモと、形態を調べるセファロとがある。
このほか、CTや機能検査などを行うこともある。
歯列模型からは、スペースディスクレパンシー量や、オーバーバイト・オーバージェットなどの計測を行う。
口腔内写真と模型とは重なる部分も多いが、歯肉の状態なども含めて記録することができる。
レントゲンのうち、パントモは口の中の状態を定性的に知るものである。
歯の植立状態や、萌出状態、骨内の歯の状況などであり、時には埋伏歯や嚢胞・腫瘍が発見されることもある。
セファロからは顎顔面の形態を定量的に調べる。
顎の形態と大きさ、歯の前後的位置と萌出角度などである。
また、正貌セファロからは、左右の対称性やあごの形態を見る。。
矯正治療は主にこれらの資料を基に計画を立てるものである。
ただ、これだけですべてのことがわかるわけではもちろんない。
そのため、もっと検査する項目を増やせという意見もある。
では、検査項目を増やせば何でもわかるのか。
おそらく、どれだけ検査項目を増やしても何でもわかるということにはならない。
それは、対象が人それぞれの個性であり、機械ではないからだ。
こう動かせばこうなる、そういう予想のもとに治療は始める。
だが、実際には思ったように動かないということもしばしばある。
その都度フォースシステムに変更を加えていくということが本来求められることなのである。