メリット、リスク・コンフォート
2022/07/20
矯正治療に限らないとは思うが、どのような治療にもリスクはつきものである。
手術であれば、術中に死ぬ可能性がないわけではない。
もっといえば、検査ですら死ぬ恐れはある。
手術はうまくいっても、何かしらの不具合が起こることもしばしばだろう。
我々の立場からすれば、リスクの説明は必要なことである。
必ず起こることとして、歯を動かすことで生じる痛みだ。
また、ブラケットが頬粘膜に接触することで痛みや腫れが生じる。
ワイヤーの先端が頬粘膜と接触して傷を作る。
さらに、歯磨きが不十分であれば、カリエスや歯周病、口臭の原因となる。
ブラケットを外した後に、四角くカリエスができていてがっかりすることがある。
こういったことは極めてよく見るものである。
そのほかにもいくつもリスクはある。
歯根吸収、歯髄壊死、歯根アンキローシス、歯肉退縮や補綴物の除去の必要性などもある。
これらの中には、予想可能なものと、そうでないものがある。
こういった様々なリスクを考慮したうえで治療しているということになるわけである。
あまり言われてこなかった、というかリスクの一部と考えられてきたのがコンフォートである。
治療を受ける患者さんが快適であるかどうかということである。
ブラケットをつけるのだから、快適であるわけはない。
だが、それ以上に不快感が発生するような治療方針であれば、それは行うべきかどうか考える必要はあろう。
そこに、ベネフィットとコンフォートの綱引きがあるわけである。
したがって、やった方がいいけれども、コンフォートを考えればやらない方がいいということはあるだろう。
そこのところは、場合によっては治療途中でも方針を変える必要は出てくるのではないか。
すべてを患者さんの忍耐に依存するというわけにもいかないのだろうと思っている。