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日本の神話が認められた

2015/05/05

e6b2b3e6b4a5e6a19ce692aee5bdb1e38389e383a9e382a4e38396_12何か唐突な感じがしたが、「明治の産業革命遺産、世界遺産登録へ、ユネスコ勧告」というテロップが流れた。そういえば最近、やけに軍艦島がどうとかいっていたなと感じた。しかし、実際に認められたのは、軍艦島のほか、韮山反射炉とか橋野鉄鉱山・高炉跡など、多岐にわたっている。明治日本が産業革命にまい進していたころの遺産を網羅している。

初めにこれを聞いたときは、軍艦島のような廃墟をこの先保存展示していくのかという違和感があった。廃墟は放っておけばいずれは崩壊するだろう。ではそれを止めるために何らかの処置をするのか。そのためにお金をかけるのかと思うと、なんだかずいぶん無駄なように感じたのである。
だが、全部で23もの資産構成ということになると、一軍艦島だけの話ではない。明治日本の奇跡に対する評価ということである。書物も輸入したし、多くの技術者を呼びいれたことは確かである。だが、現代のようにUSスティールが日本にやってきて工場を作ったとか、フォードが工場を作ったというわけではない。海外の資本に頼らずしかもイギリスが100年以上かけて作り上げたものをわずか数十年で作り上げたというところは瞠目する点であろう。
「日本の神話は明治維新である」といういい方がある。下級武士が江戸幕府という巨木を倒して明治政府を作り上げたというのは、熊襲や蝦夷を平らげたという古代の神話を体現したものだという見方である。一方、司馬遼太郎は、日清・日露戦争こそが日本の神話であると書いている。 そして、それが残念ながら大東亜戦争の敗北という破滅をもたらした原因ともなったと。
明治維新にしろ、日清・日露戦争にしろ、戦争であるからには勝った側があった一方、負けたほうもある。こちらがプラスならあちらは必ずマイナスになり、トータルして1にはけしてならない。勝った側はそれを神話として利用し、負けたほうはそれ以上の苦痛を味わうものである。そう思うとき、これらの「神話」をはたして手放しで喜んで語れるのかの思いはある。
これに対して、産業革命というものはどこにも敗者というものを作らない。これこそ近代日本における神話ではないのか。そして、今回の勧告は、ユネスコがそれを認めたということに他ならない。そう理解すべきだろう。
文明開化とは、単にちょん髷を切り落としたとか、刀をさせなくなったといった様な形式的・精神的なことだけではなかった。そこにはまさに、日本人の危機意識と新しい国を作ろうという希望とがあったのだろう。

 

 

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