新聞のコラムを読んでいたら、えらく力の入った高校の文化祭の話が出てきた。著者である作家の書いた小説を劇に仕立てて上演すると、出版社を通して本人に連絡があったのだという。更に、本番前に上演会をしますから見に来てくださいと。そういわれていったところ、とんでもなくレベルの高いものだったというのだ。それで調べてみたところ｢日本一の文化祭｣と呼ばれているということを知ったというのだ。

ここまで読んでからはじめのところに戻って読み直して、やっと国立高校のことだったと気がついた。誰が言ったか知らないが、国高の文化祭は日本一の文化祭と呼ばれているのだそうだ。その公演は入場券がなければ入れず、しかも入場券がすぐに売切れてしまう為見ることができないのだそうだ。小説家が驚いたのは、それだけではなくて、ポスターや主題歌にいたるまで自作で行っており、そのレベルもプロ並みだということである。

私の高校3年生のとき、映画を作った。1年生のときから人形劇はやっていたのだが、3年のときにどういうわけだか映画に手を出した。そこで主役をおおせつかった私の演技は見るに耐えないものであったが、今はいい思い出である。だが、今の現役の子達が作るものは、そんなものとは比べ物にならないほどのものなのだろうと思うと、ちょっと見てみたいという誘惑に駆られる。

当時、合唱コンと演コンなるものがあった。各クラスで合唱と芝居を行ってその優劣を競うというものである。ところが、どういうわけかわれわれの年から演コンをやらないことになった。芝居が嫌いというやつも多かったのかもしれない。だが、今にして思えばどうしてあの時芝居をやらないという選択をしたのか。今でもクラス会を開くにつけて、そう愚痴をこぼしている。やったことを悔やむより、やらなかったことを悔やむ場合のほうが多いものである。

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