ローマ人の歴史
2015/10/31
7年かけて、やっと読み終わった。長かったといえば長かったし、終わってみればさびしい気もする。15冊の本を7年かけたということは、それだけ真面目に読んでいなかったということにもなるか。
15巻のうち、初めの5巻は勃興期を、次の5巻は隆盛期を、そして最後の5巻を没落期に充てていると解説している。確かにそうだ。そして勃興期のハイライトはユリウス・カエサルであることは間違いない。彼こそはローマ史上燦然と輝く英雄である。というより歴史上で見ても、彼をしのぐほどの英雄という人はいなかったのではないかというほど好意的に描かれている。さらには、カエサルに続くアウグストゥス、ティベリウスが帝国の基盤を盤石のものにしたといえよう。それは、年も期間も違うが、信長から家康までの3人をどうしても思い浮かべてしまうものでもある。
15巻、1000年にわたる歴史を見ていくと、みんな一生懸命やったのだということがよくわかる。そして、それと同じぐらいに人間は愚かだということもよくわかる。どうしてこの人をここで殺さなければならないのかということが繰り返される。そして、歴史を動かしてきたことが、案外些細なことであったのだということも。
もうひとつ見逃せないのは、人は常に戦ってきたということである。今が平和であれば明日も平和であるという保証があのローマでさえなかったということである。いったん平和になったからといっても、皇帝が死んだということだけで再び動乱の時代に戻るということがしばしばおこっている。現代のパックス・アメリカーナもいつまた動乱の時代に逆戻りしないとも限らない。そして、それがローマという世界帝国をもってしても不可能であったということを描いているともいえる。
作者は、「なぜローマは滅んだのか」を知りたいからこの本を書いたと述べている。もちろん、その理由は一つではなかろう。だが、周辺からの圧力で滅んだというよりも、大国が自壊していったと言ったほうが正しいというのが作家の見方である。そして、その中心に来るのがキリスト教ということになるようである。ゲルマン民族は、一つのファクターではあるが、それ自体が原因ではないのだ。
連綿と続く長い歴史の中で、一人の人間の一生などちっぽけなものでしかない。どうあがいてもしょせんは一人の人生。だが、それを精いっぱいあがいてきた人たちがこれだけたくさんいっということもまた、よくわかった。あるものは英雄とあがめられ、ある者は地獄に堕ちろと罵られて。だからといって、明日から自分がどれだけあがいていくかはまた別の話ではあるが。
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