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三笠宮と東条英機暗殺計画

2017/02/19

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陸軍参謀であった津野田知重が、牛嶋辰熊らと語らって東条英機を暗殺するという計画を三笠宮に提出したという話である。原稿自体は20年近く前に出来上がっていたが、三笠宮本人が存命中には出すことがはばかられたため、その死後にやっと出たということである。

東條の暗殺計画自体は、彼らのほかにも画策するものがあったといわれているうえ、原稿も20年近く前書かれたということからも、内容的にはそれほど新味のあるものではないということのようである。

昭和19年の段階で東条が暗殺されていたら、国内は混乱し、終戦は早まっていたかもしれない。一方、混乱に乗じて、連合国の本土攻撃が始まっていたかもしれない。戦争当事国の中でこのようなことが画策されるということ自体、到底勝てないということにもなるのだが、敵の立場からすれば、こういうことは当然考えるものでもあるだろう。東条内閣の総辞職によって、暗殺計画は幻となったが、実際に行われていたとすれば、日本の歴史の中でもう一つ汚点が増えていただろう。

話の中で、牛嶋らが石原莞爾のところに計画書を持ち込むくだりがある。これに対して石原が、「全然同意」と書いたと出ている。日本語について論じたものにこの言葉が載っていて、「全然」を肯定的に使う使い方は、今の若者に限ったことではないと出ていた。暗殺計画については、広く知れ渡ったことであったということを知る証左であろう。

 

 

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