蠅の王
2017/10/06
ノーベル文学賞に、石黒一雄が決まったという。そんな人は知らなかったが、なんとなく日本人がとったらしいということだ。
ノーベル文学賞作家ということである。そういわれると敬遠してしまうのだが、多くの寓意に満ちた作品で、子供に読ませたくない本といわれたこともあると紹介されている。
子供が無人島で国を作るという話である。子供は無垢なものであり、無邪気なものであるという前提を大きく覆す展開である。それは、原始の時代は身分格差もなく平和だったといういわゆる理想郷神話に対しての疑問でもある。
「人はパンのみに生きるにあらず」という。だが、パンがなければ生きていけないのもまた事実である。食料と火という二つの対比に、究極の状況で人は現実と理想とどちらを選ぶのかをあらわしてもいる。「花より団子」ということだ。
「蠅の王」とは、新約聖書に出てくる悪霊の頭ベゼルブをあらわしているという解説がある。この悪霊は大食を司り、イエスがヒトに取り憑いた悪霊を追い出すとブタに入り込んだという挿話も暗示している。聖書に対するアンチテーゼであろう。
追い詰められた少年が最後に救助されるというくだりは、最後に光明を見たという考え方もできる。しかし、さすがに筆者も最後まで悪霊に勝たせておくわけには行かなかったのだろう。私には、いくつかの終わりのパターンを考えた末、どれが売れるかということでこうしたというように感じられるが。
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