匂いについて
2020/08/24
歯の痛みが耐え難いのはなぜかといえば、痛み信号が脳神経を通って直接頭に届くからだという。
通常の痛みは、脊椎を通って脳に伝えられるため、若干の時間的なずれが生じる。
それが、歯の痛みは脳神経を通じて直接脳に達する。
その分速度も速いし、痛みも強いというわけである。
脳神経とは、脳から直接出ている神経で12本ある。
「かいでみるうごくくるまのみつのそと かおきくのどにまようふくぜつ」と言いながら覚えたものである。
においというものはその中でいの一番の嗅神経を通って直接脳に届くので、脳に対する刺激の効果が大きいのだという。
痴呆症のお年寄りに昔かいだにおいをかがせると、突然昔のことを話し出したりすることがあるという。
わずかな量でも感じられるものだけに、我々はかなり敏感である。
敏感であるだけに嫌いなにおいというものは、ほかの人がいいにおいと思っても嫌なものになるのも当然である。
まあ、ごちゃごちゃ書いたけれども、私は人工的なにおいが嫌いなのである。
消臭芳香剤と称するものは、きついにおいで嫌なにおいを感じさせなくなるだけだろうと思う。
トイレの芳香剤というものが好きな人にはいいかもしれない。
だが、こういう作り物のにおいが嫌だと思ってしまうと、皆不快に感じるものである。
隣の家の洗濯ものの柔軟剤のにおいが嫌だという人がいると聞くが、まったくだと思う。
歯医者には特有なにおいがある。
矯正科では一般歯科で使うような材料をあまり使わないため、そのようなにおいはない。
だが、その分違う嫌なにおいがしていないとも限らない。
私の知らないところで、患者さんが「うっ」と思っているなんてことがあるのかもしれない。