コメ離れが加速している
2020/09/04
昨年、コメの需要が22万トン減ったそうである。
農水省の予定では、毎年10万トンは減ってもいいかなというつもりだったそうだ。
これが一気にその倍以上減ったことで、コメ生産の計画も変更を余儀なくされる。
補助金やら生産調整やらで、農水省はいろいろな試算を行っているものと思う。
それが根底から覆されることになるわけである。
抑々、「絶対必要だからやっている」という姿勢であったものが、補助金も含めて本当に必要な政策なのかという話にもなってこよう。
統計によれば、昭和30年代から平成20年代にかけての50年で、一人当たりのコメの消費量は半分になった。
それを人口の増加である程度補ってきた。
今後人口が減る時代に入れば、加速度的に下落するだろう。
コメ離れの理由はいくつもあるが、まず第一はアメリカの政策である。
食糧難だったこともあったが、我々も給食でご飯を食べたことはない。
食糧難が終わっても、いつもパンであった。
アメリカ国内で余った小麦を日本人に食べさせるために、昭和30年代に「コメを食べると太る、病気になる」という反宣伝を行った。
これを真に受けた知り合いの母上は、パンやパスタばかり召し上がっていたようである。
残念なことに、ソファーから自分一人では立ち上がれないほど太っていらっしゃった。
コメの消費量と肥満度が反比例していることを見ても、いかにアメリカの反宣伝がインチキだったかということがよくわかる。
だが、なんといっても我々が裕福になったおかげで食生活が豊かになったというのが一番である。
梅干しや塩昆布でご飯を3杯も食べていた人たちが、肉や魚をたくさん食べるようになれば、相対的にご飯を食べる量は減る。
さらに最近では、ローカーボン食とか何とかで、ご飯を食べないという人がふえてきている。
これでは需要が伸びるわけがない。
さらに、毎年30万人ずつ人口が減る予想である。
それは、ご飯をたくさん食べてきた人たちがどんどん死に、ご飯を食べない人たちばかりが残るということを意味する。
近年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて、和食ブームになっているという。
だが、和食の中心はご飯であるべきで、世界中の人たちがご飯を食べることこそ和食文化の意義であろう。
それを単にマグロなどの日本人が従来食べていたものをよその国の人に食べさせることと勘違いされてしまっているようである。
おかげでこれらの食材が高騰し口に入らなくなっては、庶民から文句しか出ないのではないか。
和食の世界化というなら、コメをこそ売るべきであろう。
そうでない和食の世界化など、我々日本の庶民にとっては迷惑以外の何物でもないのである。