人はついに自分の横顔を知らぬまま死ぬ

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人はついに自分の横顔を知らぬまま死ぬ

2021/01/15

詩人の小池正代という人がコラムに書いていた。

カメオの横顔を見ての感想である。

額から鼻筋、顎へと至るラインは、造形的で絵になるという。

「そのうえ、横顔には自分でも把握できない何かが写りこむ。人はついに自分の横顔を自分で知らぬまま死ぬのである。」

正面はちっとも似ていないのに、横顔だけ似ている人がいるのだという。

人は、横顔はおろか正面の顔すら自分で見ることはない。

自分で見なければ、ほかの人が自分に似ているのかどうかなどと感じることはない。

我々矯正科医は横顔の改善をしたいと考えて治療方針を立てる。

横顔が改善できれば、正面もよくなるに違いないと思っている。

横顔だけ似ているといわれた人とこの筆者とは、よく見れば似ているのではないかと私は考える。

似ているかどうかというのは、見方によって違ってくるものであり、違うと思っているのは単に自分の顔を知らないというだけのことであったりする。

自分の顔を見られない以上、似ているといわれた人の顔を自分と思ってみると、案外新しい発見があるかもしれないのだ。