私が歯医者を目指した理由
2021/07/24
たいていの歯医者のホームページを見ると、そういう項目が掲げられている。
そして、その内容はほぼ2つしかない。
一つは、親が歯医者でその背中を見てすばらしい仕事だと思った、というもの。
もう一つが、小さい頃歯が悪くて歯医者に通って、歯医者という仕事のすばらしさを感じた、というパターン。
それ以外を見た覚えがない。
ホームページ屋がそれらを要求するのである。
彼らは言う、売れる商品にはみんなが納得するストーリーが必要である、と。
自然酵母をさんざん探して焼いたパンとか、アレルギーの子供のために徹底的に無農薬有機栽培にこだわったコメとか。
自分がかかっている先生が高邁な理想を持って歯科医療に真摯に向き合っている人だとはだれもが思いたいものである。
歯医者がなぜ歯医者になったかと言えば、親が歯医者か、ほかの大学に入れなかったかのどちらかしかない。
私も、ほかに入れてくれるところがなかっただけのことである。
仕事先でホームページを作り直す際にそのように言うと、何か他にないですかと言われる。
そこで、「姉の同級生でK子ちゃんというかわいい子がいて、それが歯医者の娘だったんだ」と言っていたら、彼らも最後はあきらめて、何も言わなくなった。
どうも、かわいい女性目当てで歯医者になったということでは、逆効果ストーリーのようである。
小学生だったK子ちゃんは今頃どうしてるだろうか。