あなたにとって大切な人は
2021/12/14
昔、医局で若い先生向けに講義をした先生が言っていた言葉である。
あなたにとって、大切な人を思い浮かべてください。
大切な人と言ったとき、まず浮かぶのは家族だろう。
若い先生ばかりだったので、子供のいる人はいなかったようだが。
まだ家族にはなっていない恋人もいるだろう。
そんな中、講師の先生が言ったのである。
「患者さんはその中に入らないのですか。」
確かに、患者さんが抜け落ちていた人がほとんどであっただろう。
この話を聞いた時、私もちょっと意表を突かれた思いであった。
ただ、そこまで大切な人かと言われるとそうだろうかと思う部分もあった。
今、自分がやーめたと言っても、明日から私の患者さんが困るわけではない。
おそらく、粛々とほかのドクターに再配当されるだけだろう。
自分で歯科医院を開業してからきていただいている患者さんとは違っていた。
自ら歯科医院を主宰してみて、そこに来ていただいている患者さんは、私にとってかけがえのない方々である。
20年以上たって、初めてあの時の言葉をかみしめるのである。