インプラントを入れる前に来てよ
2022/10/12
下顎の第二小臼歯が先天的に欠如している方がいる。
そして、そういった方の多くが成人になっても第二乳臼歯が残存している。
50歳を超えても残っているのを見れば、乳歯だからといって無理をして抜く必要はないということだ。
だが、こういう歯をお持ちの方は、しばしばわざわざ抜かれることがある。
抜いてインプラントにしましょうという話である。
もちろん、歯根が吸収されていて動揺もあるならそれはそういう選択もあるだろう。
だが、歯根もしっかり残っていて動揺もないのなら、抜歯の必要はあるまい。
しかし、不幸にもこれを発見されてしまうと、抜いてインプラントにしましょうという話になりやすい。
歯根もしっかりした歯を抜いたのか、動揺していたから抜いたのかはわからない。
矯正科に相談に来た時にはすでにインプラントやブリッジということがある。
ブリッジならばまだ壊せばいい。
だが、さすがにインプラントとなると、これをわざわざ抜くということには相当な抵抗感はある。
保険適応のブリッジと違い、インプラントには数十万円もかけている。
まして、抜く必要のなかった乳歯を抜いたのであればなおさらである。
本人からすれば、まず虫歯を直しておいてから矯正治療をというのと似た感覚かもしれない。
せっかく虫歯を直しても、その歯を抜歯するということもある。
できれば、まず矯正科に来てほしい。
それから虫歯を直してほしいというのが矯正医の希望である。