落ちていた折り畳み傘

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落ちていた折り畳み傘

2026/06/03

台風の朝、地下道を通っていて、落ちている黒い折りたたみ傘を見た。

慌てて誰かが落としていったものとみえる。

通常、傘の類は、雨が止んだ後に落し物が増えるものと思われる。

だが、実際にじゃんじゃん降っているところで落としたということは、よっぽど荷物が多かったということなのだろうか。

「雨降りの傘でござる」といったのは、美濃の可児何とかいう人だった。

長久手の戦いの際に、自分の馬が乗れなくなった豊臣秀次に通りかかった可児さんが馬を貸してくれと言われた時の話だ。

雨が降っているときに傘を誰かに貸す馬鹿がどこにいるかということである。

でも、台風でジャンジャン雨が降っているときに傘を落とした人は、その逆である。

戦場で駆け回っていた人が自ら馬を放棄したということと同じである。

今頃はどこかでずぶぬれになっているか、コンビニで別の傘を買ったかしただろう。

どうせ、この手の話は、誰かが作った話ではある。

だが、台風の雨が降る朝に傘を落とした人は、確かにいたのである。