1ヶ月待たされたが、とうとう来るべき電話が来た。繰り上げ入学である。今日から国立大学の発表が始まるので、発表があってから動くものだと思っていたが、敵も早めに動いてきたようだ。

この1ヶ月は長かったような早かったような。10年も経ってから考えればあっという間だったとしか感じないだろう。だが、連絡が来ないうちは果たして本当に来るのだろうかという心配しかない。繰上げの順位というものまで示されていたので、多分大丈夫だろうとは思っていたとはいえだ。

合格発表というものは、疑心暗鬼を生むものだ。だから、なべおさみの息子のようなこともあるのだろう。来るかどうか分からない段階で、「OOをすれば合格させてあげますよ｣などといわれたらうかうかとのってしまったかもしれない。

戦国時代の大小名は戦争のときの疑心暗鬼はこの比ではなかっただろうと想像する。何しろ負ければ殺されるか、そうでなくとも人や土地を失う。それがあちらに付くかこちらに付くかで大きく違ってしまう。ところが、情報が少ないかあるいは無い中で選択を迫られる。後世のわれわれが見ればどうしてこのようなおろかな選択をしたのだろうと思うようなことがしばしば行われてきた。

合格が決まってうれしい反面、家から出てしまうという寂しさも現実のものとなった。こうやってだんだん子供はわれわれから離れていくのだな。

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