オバマ大統領が広島に行ったというニュースは、伊勢志摩サミットのニュースの中で最大のイベントだったようだ。　サミット全体の評価よりも、広島に行ったという部分のほうが報道の時間としてはずっと長かったように感じる。それだけ日本、あるいは日本人にとっては大きなニュースだったということだろう。

サミットというものは1970年代にアメリカとソ連の間で始まったものだが、今やほとんど形骸化している。学会と同じようなものだと言ってしまうと、ちょっと言い過ぎか。だが、多岐にわたる内容をわずか2日程度で決めるということは普通に考えて出来ないだろう。逆に、絶対に決めなければならない喫緊の議題というものも思い当たらない。やはり年に1回の政治ショーというか、「世界の首脳」の巡業のように思える。

アメリカの歴代大統領が広島訪問についてどう考えていたのかはけして知ることはできない。来る気があったが世論の反発を恐れてこられなかったのか、あるいは本当に来る気がなかったのか。少なくとも、今回オバマが広島に来たということは、アメリカの世論が広島訪問を是認したということになるのだろう。

アメリカ大統領が広島に来たということは、われわれ日本人にとって戦後の画期的な出来事に見える。もちろん、任期が半年に迫った「ほぼ前大統領」のレガシーづくりの一つという見方が一般的だろう。だが、これはアメリカ衰退の表れとも受け取れる。日本とアメリカの関係がこれから変わっていくことになるのかもしれない。

核兵器がこれから先使われるようなことがあってはならない。だが、核廃絶ということが実現すると思っている人は少ないのではないか。むしろ、北朝鮮ですら持てるようなものは、世界中に拡散する可能性のほうがずっと高そうに思える。その流れが逆になるよう、ぜひ世界の指導者は努力してほしいものである。

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