ほとんどニュースにならなかったが、室伏広治選手が現役を引退するという。イギリスの話題の陰に隠れた格好で、ほかに話題がなければ、リオオリンピックの前でもありもう少し大きなニュースになったはずだ。それほどたくさんとるわけでは無い日本のメダルを取る可能性のある一人と目されていたからだ。

彼は、前回オリンピックの際に、ＩＯＣの選手委員に立候補したことがある。それは現在では不祥事として取り扱われているようではあるが、彼がそういった場での活躍を意識していることはあるはずだ。周りにも彼に出てほしいと考えていた人もいたはずであり、それは彼にそれだけの能力があると考えてのことでもあっただろう。

この４年間は、東京オリンピックということが東京都にとっては最大の政治課題である。その場に、最も良くオリンピックを知る人物が入るということは求められることでもあり、また歓迎されることでもあるだろう。過去３人の人が道半ばでその職を辞したことを考えれば、手垢の付いていない人材は当然望まれるはずだ。

もちろん、政治という点で言えばど素人であることは誰でも分かる。とはいえ、何から何まで知っていなければトップが務まらないのかといえばそうでもなかろう。むしろ、優秀な東京都の職員が｢ど素人｣を支えなければという気持ちになって、かえって活性化するかもしれない。

彼はすでに東京医科歯科大学の教授という肩書を持っている。ただのスポーツ選手ということではない。少なくとも、スポーツということを理論的に考え、人に教えるという仕事をしているわけである。

｢引退｣ということを言った割には、ほとんどインパクトがなかったところを見て、すぐに次があるという気がしたのだが、果たしてどういう顛末になるのだろう。

 

 

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