どうして抜くかな
2020/06/21
そう思う患者さんが時々いらっしゃる。
この歯さえ抜いていなければもっとずっと治療も簡単だったのにと。
先日見えた方は、下顎第2小臼歯が舌側に傾斜していたからというだけで抜かれた。
おかげでその部分を補うために、両隣の歯を削ってブリッジにしている。
この歯を抜かなければ、両隣の歯も削る必要はなかった。
削られた歯はいずれ抜髄になり、歯根破折を起こしたり根尖病巣を作ったりする。
最終的には抜歯されることになる。
抜歯する必要のなかった歯を抜いたばかりにおこる悲劇である。
矯正治療で起こしましょうという提案はしたのだろうか。
時々、自分の技量ではできないということを、その治療自体が不可能であるという先生がいるようである。
そういった相談がネット上に載っている。
逆に、できもしないことを自分ならできるという先生もいる。
そういう先生の間で翻弄される患者さんは気の毒である。
私は極力自分でできないことはできる先生にお願いすることにしている。
また、通常できないということはできないとお話しているつもりである。
まず第一に考えるべきは患者さんのベネフィットだからである。