何でセファロがいるのか
2021/09/23
当院のレントゲンは、いまだにアナログで、フィルムを使っている。
時々うまく撮れずに黒くなったり、逆に真っ白になったりする。
そのたびに患者さんにはご迷惑をおかけする。
ところで、どうしてレントゲンを撮るのかということである。
撮影するのはパントモと言われる口全体の像とセファロと言われる頭全体の像である。
パントモは虫歯や親知らずの有無を見るため、どこの歯医者にもあるものだ。
一方のセファロというものは、顔の形態を評価するためのもので、通常の歯医者にはない。
これから頭蓋顔面の形態、すなわちあごの骨の大きさや歯の角度などを知ることになる。
セファロには正貌と側貌とがあり、正貌は主に顔の対称性を見る。
もっとも情報が多いのが側方セファロである。
主に見るのが上顎・下顎の骨の大きさと歯の角度などである。
これを標準と言われるデータと比較して、評価するということになる。
標準に近づけることが治療の目標とは限らないが、通常は標準に近づくような目標を設定する。
骨の大きさを変えるということは通常の矯正治療ではできないが、手術を併用する治療ではこれを行う。
成長の過程で骨の大きさが変化していく。
また、治療の前後で歯の角度やあごの位置が変化する。
そういった変化を知るうえでも必要となる。
つまりはこういう症例をこう直しましたというために必要なものということも言える。
それが患者さんにとって利益になるのかというと、果たしてどうだろう。
少なくとも、そこまで説明を受けたという患者さんはほとんどいないだろう。