道を歩いていたら、霊柩車が通った。思わず親指を隠した。親の死に目に会えないという話があるからだ。別に信じているわけでもないが、ついそうしたくなる。体に染みついているというほど何度もやったというわけではない。親の死に目に会えないというのは、親不幸というものだろう。だが、親の死に目に会いたいのかと言われれば、はっきりイエスとは言い難いところがある。人が亡くなるところに居たいのか居たくないのかということである。自分の親に死んでほしいとは思う人はそういないだろう。だが、人はいつかは死ぬ。そして、８０を過ぎた親であるからには、それはそう遠くない将来であろう。
もう先が長くないとい状況がやってきて、それから毎日のように病院に詰めていて、ある日息をしなくなるということになるだろうか。そういうところにリアルタイムに居るというのは耐えられるだろうか。とはいっても、あるとき｢お父さんなくなったそうですよ｣と誰かに言われるというのも変だ。
親指は隠してみたけど、いざという時にその場で親を見ていられるだろうか。道を歩いていると、つい余計なことを考えてしまうものだ。

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月島矯正歯科
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